〜ヴァータ・ピッタ・カパが
教えてくれる“本当の肌ケア”〜
◆ アーユルヴェーダにおける肌の基本概念
アーユルヴェーダは、
インド発祥の5000年の歴史を持つ伝統医学であり、
心身のバランスを整えることを目的としています。
この思想では、
人間の体と心は
「ドーシャ」と呼ばれる
3つの体質
(ヴァータ、ピッタ、カパ)の
バランスによって構成されているとされます。
◉ 肌は“内なるバランス”の鏡
アーユルヴェーダでは、
「肌の不調=内臓が汚れている」
と捉えます。
つまり、肌のトラブルは外側だけでなく、
内側(ドーシャの乱れ、消化力の低下、
感情の乱れなど)が関係しているのです。
◆ アーユルヴェーダの肌ケア:外側から+内側から
アーユルヴェーダでは
「肌に塗るものは口にできるものを」
と言われるほど、
自然でピュアなスキンケアが重視されます。
化学物質や香料よりも、
オイル、ハーブ、
花の水(ローズウォーターなど)
を使用します。
しかし、どれほど良質なものを肌に塗っても、
内側に老廃物(アーマ)が溜まっていては、
根本的な肌トラブルは解消されません。
特に現代人の多くは、
内臓が便や汗、尿などの排泄によって
老廃物を十分に排出しきれておらず、
それが肌から“第二の出口”として
現れている場合が多いのです。
ニキビ、くすみ、かゆみなどは、
体が「出したがっている」サインとも言えます。

したがって、美肌を目指すには、
外側からのケアだけでなく、
腸・肝臓・血液など
内側の浄化と循環=デトックスが不可欠です。
加えて大切なのは、
「そもそも肝臓が汚れない生き方」
をすること。
デトックスをする前に、
“毒を入れない”という
意識を持つことが最も重要です。
アーユルヴェーダでは
以下のような習慣が推奨されています:
- ① 食べ過ぎないこと:
過剰な摂取は消化不良と
毒素の原因になります。
腹八分目が理想。 - ② 酸っぱいもの・しょっぱいもの・辛いものを摂りすぎないこと:
これらは肝臓や血に熱をこもらせやすく、
肌の炎症や吹き出物につながる原因になります。
特に「すっぱいもの」には、
お酒やコーヒーなどの刺激性のある飲み物も含まれます。
肌を本当に整えたいなら、
「良いものを入れる前に、悪いものをやめる」
ことが先決なのです。
◆ 美肌になるための“3つの体質を理解する”
ドーシャを知る:
まずは自分の体質を知ることで
ケアの方向性が明確に。
けれども、
生まれ持った体質にこだわりすぎず、
今の肌状態を観察することが最も大切です。
ドーシャは季節・年齢・生活習慣
によって常に変動しています。
アーマ(未消化物)を溜めない:
肌荒れの大敵は、
消化不良によって生まれる“毒素”。
デトックスが基本。
特に、**便秘や内臓機能の低下によって
排出されなかった老廃物は、
肌から出ようとするため、
吹き出物やくすみ、かゆみとなって現れます。
**肌に問題が出たときこそ、
まずは腸内環境や肝臓の状態を
整えることが根本解決の第一歩です。
そのためには、
肝臓を疲れさせない食習慣
=「摂りすぎない」「刺激を与えすぎない」
ことが何よりの予防策となります。
ラサ(体液)を満たす生活:
ラサは血液やリンパなどの基礎体液。
水分、油分、愛情、滋養がその材料です。
乾燥肌もオイリー肌も、
根本は“ラサの質”に関係しています。
◆ 体質別:肌の傾向と主なトラブル、整え方
【1】ヴァータ体質(風と空のエネルギー)
▶ 特徴:
・痩せ型で乾燥しやすい
・冷えやすく、血行不良になりやすい
・不安や緊張によって体調が崩れる傾向
▶ 肌の悩み:
・乾燥、かさつき、粉ふき
・細かいシワ、小ジワ
・肌のトーンがくすみがち
▶ 美肌になるためのポイント:
- オイルマッサージ(アビヤンガ):
ゴマ油やアーモンドオイルでの
保湿マッサージが有効。
体も心も温まるケアを。 - 温かく油分のある食事:
ギー、スープ、煮込み料理などを。 - 規則正しい生活:
睡眠不足や過労は肌に直結。
リズム重視のライフスタイルを。
ゆっりくする時間を取り入れてみて
【2】ピッタ体質(火と水のエネルギー)
▶ 特徴:
・中肉中背で、活発な性格
・熱がこもりやすく、炎症を起こしやすい
・感情の起伏が強め
▶ 肌の悩み:
・赤み、ニキビ、吹き出物
・肌の過敏症(炎症、湿疹)
・テカリやすいTゾーン
▶ 美肌になるためのポイント:
- 冷却作用のあるハーブ
(ニーム、サンダルウッド、ローズウォーターなど)
を使用 - スパイシーな食事を控え、
苦味・甘味・渋味をとる
(キュウリ、コリアンダー、アロエなど) - 感情のクールダウン:
瞑想や深呼吸で「火の性質」を鎮める - 直射日光に当たらない
特に目から日焼けすると、トラブルが起きやすい
【3】カパ体質(水と地のエネルギー)
▶ 特徴:
・体格がしっかりしており、穏やかで安定している
・代謝が遅く、むくみやすい
・湿気や寒さに弱い傾向
▶ 肌の悩み:
・オイリー肌、毛穴の開き
・吹き出物、黒ずみ
・たるみやむくみ
▶ 美肌になるためのポイント:
- 甘い物を食べ過ぎない
甘い物の食べ過ぎは
血液がドロドロして詰まりやすくなる - 寝過ぎない:
寝過ぎはからだが重たくなったり、
ターンオーバーの停滞につながる - 朝の運動習慣:
カパは朝の重だるさで
体内が停滞しやすいので、
軽い運動で巡りを促す
◆ まとめ:肌は“ドーシャの声”
現代では肌トラブルを「化粧品」や「表面的ケア」で解決しようとしがちですが、アーユルヴェーダはそれを「体からのメッセージ」として捉えます。
ヴァータの乾燥、ピッタの炎症、カパの重さ——それぞれのサインに耳を傾け、根本から整えることで、**「外からも内からも輝く本当の美肌」**にたどり着くのです。