【はじめに】なぜ人生は思い通りにいかないのか?
「また同じ失敗を繰り返してしまった」
「人間関係がうまくいかない」
「幸せになりたいのに、なぜかブレーキがかかる」
こうした悩みの多くは、
実は「思い込み」によって
引き起こされています。
鈴木敏昭氏の著書
『人生の99%は思い込み』では、
私たちが無意識に抱えている
“思い込み”が、人生を大きく制限
していることが語られています。
その思い込みの多くは、
**子どもの頃に無意識で作り上げた
「人生脚本」や「禁止令」**によって
構成され、知らず知らずのうちに
同じパターンを繰り返す
人生になってしまうのです。
この記事では、
心理学的視点から思い込みの正体に迫り、
「どうすればそのループから
抜け出せるのか」を解説していきます。
第1章:私たちは「思い込みの鳥かご」の中で生きている
普段、私たちは「自由に生きている」
と思っていますが、
実はそうではありません。
幼少期から形成されてきた
価値観・感情・信念が、
無意識のうちにフィルターとなって
物事を判断する枠組み=鳥かごになっているのです。
たとえば、こんな思い込み…
- 私には価値がない
- 愛されるには努力しなければならない
- 人に頼ると嫌われる
- お金は我慢の代償として手に入れるものだ
- 喜びは長くは続かない
これらはすべて、
現実をそのまま見ているのではなく、
思い込みというレンズ越しに
人生を見ている状態です。
そして厄介なことに、
思い込みは自分ではなかなか気づけません。
それは、**魚が水の存在に気づかないように、
私たちも思い込みの中に
“どっぷりと浸かっている”**からです。
第2章:子ども時代に書き上げた「人生脚本」
心理学者エリック・バーンが提唱した
「人生脚本(ライフスクリプト)」とは、
子どもの頃に
「こう生きなければならない」
と無意識で書き上げた
人生の台本のことです。
その台本は、親や周囲の大人の言動、
経験、感情の記憶を元に、
自分なりに意味づけされていきます。
▼例1:「私は必要とされていない」
幼い頃、
両親にかまってもらえなかった子どもは、
「自分には価値がない」と
無意識に結論づけることがあります。
そして大人になっても、
仕事や人間関係で自分を
必要としてくれない環境を選んでしまいます。
▼例2:「愛されるには努力が必要」
親の期待に応えることでしか
認めてもらえなかった子は、
「頑張らないと愛されない」
という思い込みを抱きます。
そのため、疲れていても休めず、
燃え尽きるまで働いてしまうのです。
このようにして書き上げられた脚本は、
大人になっても
私たちの選択や感情のクセ、
人間関係のパターンを
強く支配していきます。
第3章:無意識のうちに刷り込まれた10の「禁止令」
人生脚本の中でもとくに強力なのが、
「禁止令(injunctions)」
と呼ばれる心理的な制限メッセージです。
これは、親からの直接的な言葉ではなく、
態度や雰囲気、繰り返された経験を
通して子どもが勝手に受け取った
「してはいけない」のメッセージです。
▼代表的な10の禁止令とその影響
禁止令 | 潜在的なメッセージ | 大人になってからの影響 |
---|---|---|
存在するな | あなたは邪魔だ | 自己否定が強く、自己価値を感じられない |
感じるな | 感情は迷惑 | 感情表現が苦手。人との距離ができやすい |
考えるな | 賢くなるな | 自信を持って判断できず、他人依存になる |
成功するな | 出る杭は打たれる | チャンスが来ると自ら失敗を引き寄せる |
親密になるな | 人は信じるな | 深い関係を築くのが怖くなる |
健康であるな | 病気の方が得 | 不調を無意識に招いてしまう傾向 |
成長するな | ずっと子どもでいて | 自立に対する恐れ。依存的な人間関係 |
自分でやるな | 任せたほうが安全 | 主体性を持てず、人任せの人生になりがち |
近づくな | 心を開くな | 孤立しやすく、愛を感じにくい |
楽しむな | 楽しみは罰せられる | 喜びを感じることに罪悪感を抱く |
これらの禁止令は、
そのままではあまりに苦しいため、
子どもは「ドライバー(命令)」という
別の思い込みで自分を保とうとします。
▼ドライバー(強迫的命令)の例
- 頑張れ
- 完璧であれ
- 他人を喜ばせろ
- 急げ
- 強くあれ
これらは一見ポジティブな
メッセージですが、
禁止令と結びつくことで、
**「頑張らないと価値がない」
「弱さは見せてはいけない」**
といった苦しみを生み出します。
第4章:人間関係の「心理ゲーム」に巻き込まれている
心理学では、
私たちが無意識に繰り返す
人間関係のパターンを
**「心理ゲーム(transactional games)」**
と呼びます。
これは、
心の奥にある未完了の感情や脚本を
再現しようとする「再演」のようなもので、
相手とのやりとりの中で
無意識に仕掛けてしまうのです。
▼よくある心理ゲームの例
「ほら、やっぱり私は愛されないゲーム」
- 相手に期待する(でも自分からは伝えない)
- 相手がその期待に気づかない
- 自分だけが我慢していると感じ始める
- 怒りや悲しみが爆発
- 最後に
「ほら、やっぱり私は愛されない」と確信する
このようなゲームは、
相手を操作しようとしているようでいて、
自分自身の脚本を
無意識に強化してしまうのです。
第5章:思い込みの鳥かごから自由になるには?
では、どうすれば
思い込みや人生脚本から抜け出し、
自由な人生を
生きることができるのでしょうか?
ステップ①:「気づく」ことが第一歩
- 「私は本当にこう思っているのか?」
- 「これは誰の価値観だろう?」
と、自分に問いかけることで、
脚本や禁止令に
気づくことからすべてが始まります。
ステップ②:「感情」を感じ直す
禁止されていた怒りや悲しみ、
寂しさを抑圧している限り、
同じパターンから抜け出すことはできません。
安全な場所で自分の感情を味わい直すことで、
心の傷は癒え、新しい選択が可能になります。
ステップ③:「新しい行動」を選択する
たとえば…
- ずっと我慢していた相手に本音を伝えてみる
- 一人で抱え込まず、人に頼ってみる
- 失敗してもいいから、夢に向かって一歩踏み出す
こうした行動は、
「脚本の外」に出るための第一歩です。
最初は怖くても、
その小さな一歩が未来を変えます。
【まとめ】思い込みを超えて、本当の自分を生きる
- 人生のほとんどは、
子どもの頃に作られた
「思い込みの脚本」によって
制限されている - 禁止令や心理ゲームは、
無意識に人生のループを繰り返す仕組み - 気づき、感情の解放、新しい行動に
よって脚本は書き換えることができる
【結びのメッセージ】
「人生の主役」は、
親でも社会でもありません。
脚本を書き換えるペンは、
今この瞬間、あなたの手の中にあります。
もしあなたが、
「もっと自由に、もっと自分らしく生きたい」
と思うなら、
まずはその“思い込み”に
光を当ててみましょう。
思い込みの外には、
まだ見たことのない、
本当のあなたの人生が待っています。
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