― 母乳・首のケア・オイルマッサージで
「生きやすさの土台」を整える ―
はじめに:小児科と婦人科がひとつだったという知恵
現代医療では、小児科と婦人科はまったく別の専門分野として分かれています。
しかし、アーユルヴェーダの教えでは
小児(クマーラ)と女性(ストリー)の健康は一体のものとされています。
これはつまり、
赤ちゃんの健やかな成長は、母親の心身の健康と直結している
ということを示しています。
アーユルヴェーダでは、
「母乳」は単なる栄養ではありません。
**お母さんの食事・消化力・感情・生活リズムの
すべてが凝縮された“生命のエッセンス”**と考えます。
赤ちゃんの体調の不調は、母乳の質の変化、
そしてその根本にあるお母さんの状態が大きく影響しているという見方をします。
1. 赤ちゃんの体調は母乳の質で決まる
赤ちゃんが「ずっと寝ている」「おっぱいを飲んだあとも機嫌が悪い」
「肌に湿疹やあせもが出る」「鼻が詰まる」などの症状を見せたとき、
アーユルヴェーダでは母乳の質を見直すことが最初のステップとされます。
たとえば、母乳が“ねばっこくて重たくなっている”場合、
赤ちゃんがぼんやりして長時間眠りがちになることがあります。
これはちょうど、昼寝をしすぎた後の大人がぼーっとする感じに近いです。
こうした変化は、多くの場合、お母さんの食事に原因があります。
母乳が重たくなる原因:
- 揚げ物や油の多い食事
- 白砂糖やスイーツなど甘いものの摂りすぎ
- 食べすぎ(消化力以上の量)
現代は「飽食の時代」とも言われ、
つい口にしやすいものが母乳の質に影響を与えています。
母乳が詰まりやすい、赤ちゃんの肌トラブルが増えるといった症状も、
食生活を見直すことで軽減することがあります。
アーユルヴェーダでは、
「まずお母さんが健やかであること」を何よりも重視します。
授乳中のお母さんには、
以下のような食事が勧められています。
授乳中の母親におすすめの食事:
- 温かく、軽く、消化しやすいスープや煮物
- 季節の野菜と米を中心にした食事
- 必要最低限の油(ギーや太白ごま油)
- 甘いものは天然の甘味(ドライフルーツや米飴など)に置き換える
2. 赤ちゃんのオイルマッサージ ― 生きやすさの“初期設定”を整える
アーユルヴェーダでは、
生まれたその日から毎日のオイルマッサージが勧められています。
これは皮膚の保湿や筋肉の刺激だけでなく、
神経系の安定、体質調整、骨格のサポートという多面的な効果があるとされています。
体質別おすすめオイル:
- ヴァータ体質の赤ちゃん:セサミオイル(太白ごま油)
- ピッタ体質の赤ちゃん:ココナッツオイル
- カパ体質の赤ちゃん:マスタードオイル
どれにすればよいか迷ったときは、
**太白ごま油(精製されたセサミオイル)**を
基本のオイルとして使用するのが安心です。
マッサージのポイント:
- 湿疹などの肌トラブルがあるときは、オイルは使用しない
- 肩・股関節・首・手首・足首などの関節をやさしく“くるくる”と円を描くようにマッサージ
- 「乳液をうっすら塗る」程度の量でOK(ベタベタにする必要はない)
- マッサージの後は、さらしや薄手の布でやさしく巻いて包むと、
赤ちゃんは安心して眠ることが多い
3. 首と頭のケア ― 出産の“最大の苦しみ”を癒す
アーユルヴェーダでは、赤ちゃんの「首・頭の骨格」が
その後の感情や気質にも影響するとされています。
赤ちゃんは狭い産道を通る際、頭と体を強くねじりながら生まれてくるため、
頸椎(けいつい)にゆがみが出ることがあるのです。
とくに、**首の上部(第一頸椎・第二頸椎)**がずれていると、
感情が不安定になったり、癇癪を起こしやすくなる傾向があります。
これは「悪い」ことではなく、
ごく自然な出産の影響として受け止め、
日々のケアで整えていくことができます。
自宅でできる簡単ケア:
※湿疹などの肌トラブルがあるときは、オイルは使用しない
- 肩・股関節・首・手首・足首などの関節を
やさしく“くるくる”と円を描くようにマッサージ - 「乳液をうっすら塗る」程度の量でOK(ベタベタにする必要はない)
- マッサージの後は、さらしや薄手の布でやさしく巻いて包むと、
赤ちゃんは安心して眠ることが多い
まとめ
アーユルヴェーダの新生児ケアでは、
**「赤ちゃんを整える=お母さんのケアから始まる」**
という一貫した視点が貫かれています。
- 赤ちゃんの不調があったら、まず母乳の質とお母さんの食事を見直す
- 体質に合ったオイルマッサージを日常に取り入れる
- 頭と首のケアで、出産の“初期の衝撃”を癒してあげる
motokoさんの言葉を借りるならば、
これらのケアは単なるマニュアルではなく、
**「生きやすさの初期設定」**です。
特別な道具や特別な医療がなくても、
今すぐできる“手のひらのケア”が赤ちゃんの未来を支えていきます。
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