夏の熱を鎮め、秋の乾きに
やさしく寄り添うローズの恵み
アーユルヴェーダでは
季節の移ろいとともに変化する
心身のバランスに合わせて
食べ物やライフスタイルを
調整することが大切とされています。
特に秋は
「ヴァータ・ドーシャ」が乱れやすい季節。
風のように軽く、冷たく、乾いた性質
を持つヴァータは、
秋の空気と共鳴して
私たちの身体と心にも影響を及ぼします。
また、夏の間に高まった
「ピッタ・ドーシャ(火のエネルギー)」の影響も
秋のはじめにはまだ残っていることがあります。
そんなときにおすすめの植物が
「冷却作用」と「潤い」
をもたらしてくれるバラです。
アーユルヴェーダでのバラの活用と効能
バラは、ピッタとヴァータの
両方を鎮める効果があるとされ
アーユルヴェーダでは
心と体のバランスを取る
大切な植物と考えられています。
特に使われるのは、
🌹 Rosa centifolia(センティフォリア種)
🌹 Rosa damascena(ダマスクローズ)
どちらも香り高く、精油やローズウォーター
ハーブティーなどに広く用いられています。
中でもローズウォーターは、
古来より料理(ビリヤニやミルクドリンクなど)や
香りづけ、目薬、化粧水など
幅広い用途に使われてきました。
① 目のケアに:冷却アイパックとして
意外に思われるかもしれませんが
アーユルヴェーダでは
「目を温める」のはNGとされています。
目はピッタの座であり
熱を持ちやすいため
冷やしてケアするのが基本です。
そんなときに役立つのが
ローズウォーターのアイパック。
冷蔵庫で冷やした
ローズウォーターをコットンに浸し
まぶたの上に乗せて15分ほどリラックス。
目の疲れや熱だけでなく
心のイライラや焦燥感も鎮めてくれます。
目のまわりのむくみにも◎。
② バラの薬膳ジャム:グルカンド(Gulkand)
バラの花びらを砂糖やはちみつ、ギーと
一緒に漬け込んで作る保存用のジャム「グルカンド」は
インドでは伝統的な知恵。
消化力を助け、便秘の予防や
体内の熱を冷ます作用があります。
ピッタ体質の人にとっては
心身のクールダウンにもってこいの
甘いお薬のような存在です。
手作りする場合は
無農薬のローズペタルと
ロックシュガーや生蜂蜜を層にして漬け込み
数日間日光に当てながら熟成させます。
ほんのひとさじを
朝のチャイやミルクと
一緒に取るのがアーユルヴェーダ流。
バラの取り入れ方アイデア【実践編】
🌹 ローズティー
乾燥させたバラの花びらをお湯に浮かべて。
冷却・鎮静作用に加え
心をやさしく癒してくれます。
ピッタの余熱を静かに手放したいときに。
🌹 ローズウォーターのスプレー&アイパック
ミストスプレーで肌を潤し、
コットンにひたして目元パックに。
パソコン作業の多い現代人にこそおすすめ。
ただし、スプレーは食用のローズウォータで。
アルコールが入っていると、温める作用があるため
効果が感じにくくなるかもしれません。
🌹 バラ風呂
お風呂に花びらを浮かべるだけで
秋の乾燥と疲れをやさしくほどく至福の時間に。
ローズ精油を1〜2滴加えてもOK。
🌹 グルカンド
自家製または市販のグルカンドを
朝のスプーン1杯で。
夏の疲れや消化力低下が気になる秋におすすめ。
秋は「火」と「風」のバランスを整えるとき
夏に溜まった熱(ピッタ)を優しく冷ましながら
秋に乱れやすい
風のエネルギー(ヴァータ)をしっとりと整える。
バラはその両方に働きかけ
心と身体を同時に癒してくれる
まさに“季節の守り手”です。
自然のリズムと調和しながら
自分の内側の感覚にも優しく
耳を傾ける秋のセルフケアに。
バラの香りと恵みを
ぜひ日常に取り入れてみてくださいね。