はじめに:香りは心身と魂をつなぐ扉
アーユルヴェーダでは
五感のなかでも嗅覚は特別です。
香りの情報は、私たちの
大脳辺縁系(感情や本能をつかさどる部分)へ
ダイレクトに届き、
心と体、そして深層意識にまで働きかけます。
特に精油(エッセンシャルオイル)は、
植物の命のエッセンス。
香りを上手に活用することで、
アーユルヴェーダの
3つのドーシャ(ヴァータ・ピッタ・カパ)
だけでなく、
心の性質である
トリグナ(サットヴァ・ラジャス・タマス)
にもアプローチできます。
この記事では、
ドーシャごとの特徴に合った精油や香りの選び方、
トリグナとの関係、揮発性(ノート)
について詳しく解説していきます。
トリグナとは?香りが心の質に与える影響
アーユルヴェーダでは
心の状態は「トリグナ」という3つの性質で表されます。
グナ | 特徴 | 増えると | 減ると |
---|---|---|---|
サットヴァ(純性) | 明晰・調和・愛・喜び | 幸福感、集中力 | 不安定、混乱 |
ラジャス(激性) | 動き・情熱・刺激 | 活動的、意欲的 | 無気力、停滞 |
タマス(鈍性) | 重さ・怠惰・停滞 | 睡眠、沈静 | 焦燥、不眠 |
香りにはこれらの
グナに作用する力があります。
たとえば、
- ローズやジャスミン、ゼラニウム、フランキンセンス:
サットヴァを高め、心のバランスを整える - ユーカリ、ペパーミント、イランイラン:
刺激が強くラジャスを増やす - ラベンダー、カモミール、サンダルウッド:
沈静作用がありタマスを増やす(ヴァータ・ピッタには有効)
香りの揮発性(ノート)とドーシャとの相性
香りは揮発性の高さ=ノートによって
心身への作用の早さや深さが異なります。
ノート | 持続時間 | 作用 | ドーシャとの相性 |
---|---|---|---|
トップノート | 〜1時間 | 刺激・目覚め | カパ向け(活性化) |
ミドルノート | 2〜4時間 | 調整・安定 | ピッタ向け(バランス) |
ベースノート | 5時間以上 | 落ち着き・安定 | ヴァータ向け(グラウンディング) |
ヴァータ(Vata)タイプにおすすめの精油
特徴:
風のように軽く、不安定で冷えやすい。
思考が多く、不安や不眠になりがち。
おすすめの香りとグナ作用:
精油名 | 主な作用 | トリグナ | ノート |
---|---|---|---|
ベチパー | グラウンディング | タマス+サットヴァ | ベース |
サンダルウッド | 精神安定 | サットヴァ | ベース |
ミルラ | 心を安定させる | サットヴァ+タマス | ベース |
アンジェリカ | 自信を与える | サットヴァ+ラジャス | ミドル〜ベース |
ジンジャー | 体を温める | ラジャス | ミドル |
ブラックペッパー | 活力を与える | ラジャス | ミドル |
ローズマリー | 頭をクリアに | ラジャス | ミドル〜トップ |
ヴァータは重さと温かさのある香りで落ち着かせ
時に適度な刺激でグラウンディングのサポートを。
ピッタ(Pitta)タイプにおすすめの精油
特徴:
火のエネルギーを持ち、
情熱的だが怒りっぽく、熱や炎症が出やすい。
おすすめの香りとグナ作用:
精油名 | 主な作用 | トリグナ | ノート |
---|---|---|---|
ペパーミント | 冷却・明晰 | サットヴァ+ラジャス | トップ |
ネロリ | 緊張緩和・心を癒す | サットヴァ | ミドル |
ジャスミン | 幸福感 | サットヴァ | ミドル |
ローズ | 愛と調和 | サットヴァ | ミドル |
カモミール | 怒りを鎮める | タマス+サットヴァ | ミドル〜ベース |
フェンネル | 消化促進・冷却 | サットヴァ | ミドル |
ラベンダー | 鎮静・万能 | サットヴァ+タマス | ミドル |
チャンパカ | 精神的な安心感 | サットヴァ | ミドル |
ピッタはクールで甘い香りで
熱とラジャスを抑え
サットヴァで心の調和をはかるのがポイント。
カパ(Kapha)タイプにおすすめの精油
特徴:
重く湿っていて安定性があるが
停滞・むくみ・無気力になりやすい。
おすすめの香りとグナ作用:
精油名 | 主な作用 | トリグナ | ノート |
---|---|---|---|
レモン | 明るく活性 | ラジャス | トップ |
レモングラス | 覚醒・代謝促進 | ラジャス | トップ |
ジュニパーベリー | 浄化・利尿 | サットヴァ+ラジャス | トップ〜ミドル |
サイプレス | 巡りを良くする | ラジャス | ミドル |
クローブ | 強い刺激 | ラジャス | ミドル |
バジル | 頭のスッキリ感 | ラジャス+サットヴァ | トップ |
ジンジャー | 内側から温める | ラジャス | ミドル |
ブラックペッパー | 活力を与える | ラジャス | ミドル |
カパにはスパイシーで軽さのある香りを選び
重さと停滞を動かすラジャスを上手に活用します。
精油でトリドーシャを整えるヒント
・フランキンセンスやゼラニウムは
トリドーシャすべてに調和的に働き
サットヴァを増やす
・香りの好み=体質や今のグナ状態の反映。直感も大切にしましょう
・朝はトップノート、夜はベースノートなど
時間帯での使い分けも◎
おわりに|香りは自分とつながる小さな儀式
香りは「今ここ」に戻る力を持っています。
日々の中でほんの数分、
自分のドーシャや心の状態に合わせた香りを
感じる時間を作ることで、
自分を整え、魂と響き合う瞬間が生まれます。
アーユルヴェーダと香りを、
どうぞあなた自身の癒しと
調和のために役立ててください。
◇ドーシャ診断はこちらから↓