いつも生きづらい。
人間関係が苦しい。
自分だけ頑張っている気がする―その理由は、
もしかすると幼い頃の両親との関係に
ヒントがあるかもしれません。子どものころの私たちは、
家族の中で生き延びるために
小さな体と心で一生懸命にルールを作りました。「こうしていれば怒られない」
「こうすれば愛してもらえる」そのルールはあなたを守るために必要だったものです。
けれど、大人になった今、
それがかえってあなたを苦しめてはいませんか?
「アダルトチルドレン」という言葉が気になる方へ
アダルトチルドレン
(Adult Children of Dysfunctional Families:略してAC)とは、
幼少期に「機能不全家庭」で育った影響から、
心の傷や生きづらさを抱える人たちのことを指します。

機能不全家庭とは、
親が精神的に不安定だったり、
感情を押し殺したり、
子どもの感情に十分に寄り添えない家庭環境のこと。
そうした環境で育つと、
子どもは自分の感情を抑え込み、
家族の中で「安全に生きるための役割」
を無意識に作り上げてしまうのです。
7つのタイプ診断で自分を知るヒント
アダルトチルドレンの特徴は人それぞれですが、
心理学の分野では主に
以下の7つのタイプに分類されることが多いです。
タイプ | 代表的な特徴 |
---|---|
ヒーロー | 完璧主義で期待に応えようと頑張りすぎる |
スケープゴート | 問題児の役割を背負い家族のバランスを取る |
ロストワン | 存在を消すように目立たないようにする |
ピエロ | ムードメーカーとして場を和ませる |
ケアテイカー | 他人の世話を焼くことで自己価値を感じる |
イネイブラー | 家族の問題を助長したり支えすぎたりする |
プラケーター | 人の機嫌を取って争いを避ける |
診断質問リスト
ヒーロータイプ(完璧主義)
- 失敗を極端に恐れてしまう。
- 周囲の期待に応えようと、いつも努力を続けている。
- 自分の感情を後回しにしてでも、責任を果たそうとする。
- 休むことに罪悪感を感じる。
- 誰かに助けを求めるのが苦手だ。
ピエロタイプ(ムードメーカー)
- 場の空気を和ませるために冗談や笑いをよく使う。
- 本音を隠して、人に合わせることが多い。
- 自分が傷ついていても、それを見せないようにしている。
- 周囲の注目を浴びることに安心感を感じる。
- 深刻な話よりも、明るい話題を優先してしまう。
ケアテイカー・イネイブラータイプ(世話役)
- 他人の問題や感情を自分のことのように感じる。
- 人の世話を焼くことで自分の価値を感じる。
- 自分の欲求を後回しにしてでも、周囲を支えようとする。
- トラブルがあったら自分が解決しなければと感じる。
- 自分の意見よりも、相手の望みを優先しがちだ。
ロストワンタイプ(存在を消す)
- なるべく目立たないように行動している。
- 自分の感情や意見を言うのが苦手だ。
- 集団の中で存在を消していると感じる。
- 「いなかったこと」にされることが多い。
- 自分が何を望んでいるのかわからなくなることがある。
プラケータータイプ(争い回避)
- 争いを避けるために自分の意見を引っ込める。
- 人の機嫌を取ることで場を落ち着かせようとする。
- 誰かが怒ったりすると、自分のせいだと思ってしまう。
- 自分の感情を抑えて、周囲を優先することが多い。
- 人に嫌われるのが怖い。
スケープゴートタイプ(問題児)
- 幼い頃から「問題児」として扱われたことがある。
- 注意や怒りを引きつける行動をしてしまう。
- 周囲から誤解されやすいと感じる。
- 自分の怒りや悲しみを表現するのが苦手だ。
- 家族の問題のはけ口にされていた。
アダルトチルドレン7タイプ診断の
採点方法とタイプ別解説
採点方法
- 各質問に「はい」「いいえ」で答えます。
- 各タイプごとの質問に「はい」がいくつあるか数えます。
- 最も「はい」が多いタイプがあなたの傾向として強いタイプです。
- 複数タイプに偏りがある場合は、複合的な傾向もあると考えられます。
タイプ別簡単解説
本記事でご紹介している
アダルトチルドレンのタイプは主に7つに分けられますが、
心理学の分類や研究者によっては
ケアテイカーとイネイブラーを
ひとまとめにして説明する場合もあります。
注意点:タイプの分類について
そのため、本記事の詳しい解説パートでは、
ケアテイカーとイネイブラーをまとめて解説し、
全体として6つのタイプとしてご紹介しています。
どちらの表現も
基本的には同じグループを指していますので、
混乱せずご自身の傾向を参考にしていただければ幸いです。
1. ヒーロータイプ(完璧主義)

特徴
ヒーロータイプは、
家族の中で「期待に応える人」「模範的な子ども」
としての役割を担って育ちました。
完璧であろうと努力し
失敗を避けることを最優先にします。
仕事や勉強、人間関係においても自分に厳しく
他人から認められることを強く望みます。
心理的背景
家庭内の混乱や不安定さを感じる中で、
「完璧にできれば愛される」という信念が根づきました。
このため、自分の感情や疲れを抑え込み、
「期待に応え続けること」が自己価値の源泉になっています。
行動パターン
- 常に責任感が強く、手を抜くことを罪悪感に感じる
- ミスや弱さを隠すために自己防衛が働く
- 他人の期待に応えることに全力を注ぐため、自分を犠牲にしやすい
克服のポイント
- 完璧でなくても価値がある自分を認める
- 休むことや助けを求めることに罪悪感を持たない
- 自分の感情に意識を向け、表現する時間を作る
2. スケープゴートタイプ(問題児)

特徴
スケープゴートは、
家族の中で「問題を引き起こす子ども」
として認識されていました。
怒りや反抗的な態度を見せることもあり、
そのことで注目を集め、
家族の他の問題から目をそらさせる役割を担います。
心理的背景
家庭の問題や親の不安を引き受けるために、
敢えて「問題児」になり、
自分の感情を表現する手段として怒りを使います。
しかしその裏には、
愛されたいという強い欲求や孤独感があります。
行動パターン
- 注意や非難を浴びることで存在を示す
- 感情を抑えられず、爆発しやすい
- 周囲から誤解されやすく、自己評価が低い
克服のポイント
- 怒りや悲しみを安全に表現できる環境を持つ
- 自己理解を深め、感情のコントロールを学ぶ
- 自分に対して優しさを持ち、
無理に問題児を演じる必要がないと認識する
3. ロストワンタイプ(存在を消す)

特徴
ロストワンは、
家庭内で自分の存在をなるべく消すことで、
争いや否定から逃れようとします。
自分の感情や意見を押し殺し、
目立たず静かにいることを選びます。
心理的背景
家庭の緊張や葛藤の中で、
「存在しないほうが安全」と無意識に学んだ結果、
自分の存在感を薄める習慣が根付きました。
そのため自己肯定感が低く、自己主張が苦手です。
行動パターン
- 集団の中で目立たないよう振る舞う
- 感情を表に出さず、内にため込む
- 自己決定が苦手で、他人に合わせやすい
克服のポイント
- 小さな自己表現を積み重ね、自信をつける
- 自分の感情やニーズに気づく時間を意識的に作る
- 安心できる人間関係で自己開示を試みる
4. ピエロタイプ(ムードメーカー)

特徴
ピエロタイプは、
場の雰囲気を明るくしようと
冗談やおどけた態度を取り
周囲を和ませます。
本音や弱さは隠し
周囲の注目を笑いで引きつける傾向があります。
心理的背景
家庭での緊張や不安を和らげるために
自分が「笑いの中心」になることを選択しました。
本当の自分を出すことが怖いため、
表面的な明るさで防御しています。
行動パターン
- 冗談やユーモアで場を盛り上げる
- 感情を深く掘り下げることを避ける
- 本音を言わず、自己防衛的な明るさを演じる
克服のポイント
- 本音を話せる信頼関係を築く
- 自分の感情に正直になる練習をする
- 表面的な明るさ以外の自分を受け入れる
5. ケアテイカー・イネイブラータイプ(世話役)

特徴
このタイプは、家族や周囲の人の世話を焼き、
問題を肩代わりすることで自分の役割を果たします。
他人の問題を解決しようとするあまり、
自分のニーズが後回しになりやすいです。
心理的背景
家族内の混乱や問題を和らげるために、
自分が「支える人」として機能する必要がありました。
その結果、自己犠牲的な態度が身についています。
行動パターン
- 他人の世話をすることで自分の価値を感じる
- 自分の欲求を押し殺してでも周囲を支える
- 問題解決に過剰に介入し、依存関係を生むこともある
克服のポイント
- 自己の限界を認めることを学ぶ
- 自分のニーズを優先し、助けを求める勇気を持つ
- 健康な境界線を設定する練習をする
6. プラケータータイプ(争い回避)

特徴
プラケーターは、
争いを避けるために自分の意見や感情を抑え、
周囲の機嫌を取ろうとします。
相手に嫌われることを恐れ、
自己犠牲的な行動が目立ちます。
心理的背景
家庭内の対立や怒りを恐れ、
穏便に済ませることが「安全」であると学びました。
そのため自己主張が苦手で、
自己肯定感が低い傾向があります。
行動パターン
- 自分の感情を抑えてでも相手を優先する
- 争いを避けるために自分を犠牲にする
- 嫌われることを強く恐れる
克服のポイント
- 自己肯定感を育て、自分の感情も尊重する
- 健全なコミュニケーションスキルを身につける
- 断る練習を重ね、自己主張を少しずつ増やす
まとめ
アダルトチルドレンの7タイプは
それぞれに独特の心の傷と防衛パターンを持っています。
どのタイプも、幼い頃に「生き延びるため」
に身につけた大切な生存戦略です。
大切なのは、
「今の自分のパターンに気づき、
無理なく少しずつ変えていくこと」。
完璧を求めず、
自分に優しく向き合うことが第一歩です。